手すりや階段のステップ等の建築金物メーカーの株式会社アトラス(大阪市天王寺区)が4月に50億の負債を抱え倒産しました。組合では被害者19人(足立支部17人、千葉・埼玉土建各1人、被害総額1,113万円)の未払金を求めて破産管財人交渉をすすめてきました。7月16日に債権者集会が大阪地裁でおこなわれ、破産管財人は手間請施工職人の売掛金を労働債権(賃金)と認定し、全国120人の専属施工職人全員救済と総額1億2000万円の支払いを決めました。そしてこの程、その全額が支払われました。
始まりは一人の組合員の相談がきっかけだった…
満面の笑顔の勝利集会(8月29日 足立支部会館)
手間請職人は、労働者か事業主か
倒産企業に対して「工事代金を支払え!」「お金を返してくれ!」と言える権利、これを債権といいますが、債権には配当順位があります。一番が税金、二番が抵当権付債権、三番目が労働債権、そして四番目が一般債権です。
屋号持ち・グループ請で請求書を取り交わしている手間請労働者の売掛金は、「一般債権」として優先順位が低く、破産事件において支払いを受ける事はほとんどできません。
そこで、倒産したアトラスの社員と同じように手間請労働者(賃金台帳や雇用契約書がない)の未払金も「賃金(労働債権)」と認定をさせ、優先的に配当を受けることを求めました。
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「使用従属性」等を総合的に判断
手間請職人は会社から支持を受け仕事
しており、本人に裁量の余地はなかった
労働者性の判断は、裁判でも意見が分れるところです。会社側の作業指示等の形態、就労実態を明らかにし、作業内容等についても写真等も活用して「使用従属性」、「専属性」を証明しつつ、「労働者」認定を求めました。
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手間請け労働者の労働者性確立の歴史的勝利
「労働債権」認定がこれだけ大規模でおこなわれたことはなく、かつ全額支払われることは極めてまれです。小泉構造改革の破たんにより企業倒産が激増しています。
そのようなもと、泣き寝入りとなる手間請負職人にとって、アトラス破産事件の勝利は、足立支部のみならず、東京土建、全国の建設労働者を勇気づけ、同様の取り組みをおこなっている仲間を大きく励ますものです。
全額回収で感謝と喜びの声
組合があったから勝利できた
小泉智彦さん(島根分会)
群会議や新聞などを通じて「困ったときは組合が相談にのってくれる」と知り相談しました。
事務所で中村書記に不払いの相談を持ちかけたら、「被害者が他にいるのだったらみんな連れておいでよ」と言われ本当にうれしかったです。
組合がなかったら絶対に解決できなかったと思います。
これも自分だけでなく、仲間みんなのために頑張ってくれた東京土建のおかげです。感謝してもし切れません。本当にありがとうございました。
組織の大きさ、役員、書記局に感謝
中村茂樹さん(八王子在住)
親子三人で被害にあい、この先どうなってしまうのだろうかと藁をもすがる思いでした。
破産管財人交渉では、大阪まで中村さんや小路さんと共に自分も同席しました。
膨大な資料を作成し、理路整然とすすめ、最後まで低姿勢な話しぶりには感心しました。
また7月におこなわれた「活動者会議」に出席し、組合の大きさと会議に参加する方々の熱意を実感したところです。その組織力があって解決があったと思います。
今後も、引き続き親子3人足立支部にお世話になります。