東京土建一般労働組合　足立支部

　生まれは、以前この『私の故郷』に登場した田村ミサさんと同じ旧・青森県北津軽郡喜良市村。田村さんとは同じ小学校で、私のほうが２学年上です。
　実家は農業ですが、米は家で食べる程度でした。父が軍隊から帰り馬を売る「馬喰」の仕事もすると、それが副収入になりました。
　馬をばんえい競馬に出して優勝すると、高く売れてね。
　子どもの頃は遊ぶにはよい環境でしたね。
　春は山菜採り、秋はあけび、山栗、山ぶどう、桃に山なしが採れて、冬になると、うさぎやスズメを捕ったりしたよ。
　だから親に怒られても２〜３日は平気で山で過ごせたんだ。

 

中卒で黒四ダム現場
同僚の事故で強制送還

　その頃、黒四ダムの工事が初まり、村で土木工事の作業班が組まれた時に参加。１６歳の時でしたね。
　給料は平地の２倍で喜んだけど、１年半くらい経った頃、目の前で一つ年上の人が現場で亡くなるという事故があってね。それで危ないからと、結局、家に帰らされたんです。
　でもその１ヶ月後には、つてを頼って東京の土木現場で働き、お盆で帰省した時に今さん（十三日さん＝平野分会在籍）と話すと、東京で板金屋の小僧をやっているとのこと。私は村に左官屋がいなかったので、左官を選びました。
　親方は厳しくて、仕事も「粗塗り」の凍結防止を徹夜でやるのが小僧の仕事。煙りでいぶして乾燥させるのに手を抜いて、壁が落ちてどなられた事も。ちゃんとやるとほめられてよくしてくれたね。
　今、いい職人に恵まれて、やっぱり職人さんが働いてくれて何ぼと思いますよね。
　故郷を思うと、川が一番変わったね。手入れしていないから川幅も狭くて浅くなっていた。
　あの頃は「原生林」の中での生活で、まあ絵に描いた様な素朴な山の暮らしだったね。

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