東京土建一般労働組合　足立支部

　横山守さんは新潟県中頚城群三和村（現上越市三和村）の出身。村は田圃ばかりで、自分の部落の裏からすぐに山が始まり、そこを越えると魚沼だ。
　子どもの頃の遊びといったら「チャンバラごっこ」。他にイナゴ捕りやイナゴの卵取りなど。イナゴは食糧、その卵を取って農協に持っていくとイナゴ退治の褒美で１升80円で買ってくれたという。
　春先の雪が消えた「よその家」の田圃に水を入れ、長靴でかき回すと、小指の先ほどの黄色いイナゴの卵が浮いてきたところをかき集めるのだと言う。「小遣い稼ぎでほとんど遊び感覚」だった。
　夏休みになると、子どもたちは神社に集まり、中学３年生の音頭で午前中宿題をやったという。「そうでもしないと宿題なんかやらないから」らしい。

　父親は村で大工をやっていて、その後長兄、次兄が大工の道に進んだ。
　横山さんは大工が嫌で、高校進学を考えたが「兄たちを見ていてとても無理」と判断。直江津の機械部品加工の訓練所に申込んだ。入校の連絡が来た頃「高校に行ってもいい」との言葉にも「別に悔しい思いはなかった」という。
　１年訓練を受け、大田区の町工場に就職し、３年後に中目黒の40〜50人いる三菱系列の工場に移った。ブルドーザーのキャタピラー部品を作り、軍事関係もあって、機関銃の部品も関わった。
　10年ほど働くが仕事も少なくなり、次兄（大工）が西新井で独立する時に通った。若い衆から「仕事ができると思われて辛かった」というが、嫌だった大工も３年ほどで腕を上げた。
　仕事は野田の50棟〜60棟など建売が多かったが、「個人宅で茶室や複雑な床の間が難しかったね」と、回想する。
　結局最後まで次兄とその長男の下で、大工仕事を続けてきた横山さんは、今年の春まで現場を努めた。

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