東京土建一般労働組合　足立支部

　私は沖縄出身の母と東京出身の父との間に生まれました。
北千住育ちですが、一応産まれ落ちたのは沖縄です。 私の沖縄の記憶は大変おぼろげなので、今回は母の子供時代の沖縄をご紹介しましょう。
　私の母が育ったのは戦争が終わってすぐの頃で、とても貧しく今のように物が溢れている時代ではありませんでした。

　

小学生の母が自分の着ていた服を洗濯して干していたら、翌日近所の女の子がその服を着ていたなどは日常茶飯事。 それでもまだ、祖父が米軍相手に自動車工場をしていたおかげで、その部落の中ではまだ裕福な方だったようです。 とはいえ米軍から現金はもらえず、車の修理をする代わりに物をいろいろもらっていました。首がちょん切れそうな大きな扇風機、テレビ、冷蔵庫など。着る物、食べる物に困っていても、一通りの電化製品は揃っていたそうです。 母はその大きな冷蔵庫の扉を開けクーラーがわりに一晩そこで寝たところ、中の食料は全部腐ってしまい祖母はその日から冷蔵庫にチェーンと鍵をつけました。
　またある日、弟が名前をつけてかわいがっていた鶏が食卓に出てきたり、母が友達と久しぶりに空き地でヤギの焼肉パーティーをして、食べ終わって片付けていたら、ゴミ捨て場には犬の頭が転がっていたなどエピソードは事欠きません。今流行の「佐賀のガバイばあちゃん」に負けません。 そんな厳しい時代を過ごして来た母を含め、それでも明るく前向きに生きようとする沖縄の人々が私は大好きです。
　そのウチナー（沖縄）の血を継いだことを私は誇りに思うし、祖父母やその前のご先祖さまに感謝しています。

 

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